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マッサージ師の雑学日記


鍼灸・マッサージ師の給料

鍼灸・マッサージ師を目指す人にとっては「給料ってどうなの?」という疑問があると思います。
独立してしまえば給料は人それぞれですから「勤めた場合の平均的な給料」のお話を少し。


まず初めに言ってしまうと「
稼ぎたいのならこの業界はやめた方がいい」です。
地味な売り上げをコツコツ稼ぐという仕事ですから。


「1回1万円です」という店舗に患者さんがどんどん来てくれればいいのですが、そんなわけにはいきませんから。
(世の中にはそういう店舗があるかもしれませんが、私は知りません・・)

資格取得後に就職した場合の一般的な待遇(治療院や整骨院に勤務した場合)
・基本給18万円
・週休1日
・実働10時間前後
・ボーナス 出ないところがほとんど(出たとしても2〜3万円程度)
・昇給 ほとんど無し
・残業代 一部のみ支給(残業代が1円も出ないところも結構あります)

とまぁ、こんな感じです。


特に新卒に関しては「
働きながら勉強させている」という認識が経営側にあるので、上記のような待遇が圧倒的に多いのです。

院長世代に言わせれば「昔なんて朝から晩まで働いてお小遣い程度しか貰えなかった」と言いますから、その時代に比べれば、まだマシなのでしょう。


残業代も出ないとなると手取り
14〜15万円
ボーナスも無いのが普通なので
年収200万円!
昇給もほとんどありません。

コンビニでバイトした方が稼げるのでは・・・?
その通りです。


※「鍼灸・マッサージ師の平均年収は400〜500万円」と書いてあるサイトが結構ありますが、そういうサイトって業界とは無関係の人が書いている事がほとんどなので信じてはいけません。



ちなみに、供給過剰と言われているコンビニは全国で5万店舗ほどですが、マッサージや整体・リラクゼーションなどの店舗を個人・チェーン店など全て含めると全国で約15万店舗。

さらに整骨院の5万店舗を加えると、20万もの店舗がお客を奪い合っているわけですから、いかに厳しい商売かが分かるでしょう。
マッサージの受診率は30〜40%ほどですから、需要も限られていて頭打ちですしね。


・多くの店舗で客を奪い合っている
・施術出来る人数は限られるので、1日で売り上げられる金額が低い
・60分2980円という店が増えたので、客単価は下がっている
・コロナの影響で業界全体の売り上げも、かなり下がっている

稼げなくて当たり前ですね。。。


コロナの影響で空きテナントが増え、そこに整体が入る事がよくあります。
受付とベッドさえあれば開業出来るので気軽に参入して来ると思うのですが、半年持たずに閉店するパターンがほとんどです。
同業者が多くてお客が少ないのに、新規参入でやっていけるわけないですよね。


このような業界ですから「どうしても鍼灸・マッサージの施術がしたい」とか「将来独立したい」という人以外は厳しいかと思います。

人並の生活をしたいのなら、やめた方がいいですよ。



〜開業した場合〜
開業した場合の収入は人それぞれですが、ハッキリ言って喰えません。

この業界は「見栄っ張り」や「嘘つき」が多いのでガセネタが出回ってます。
「鍼灸院を経営していて年収1000万円あります!」などと平気で嘘をつくアホが多いので騙されないようにしましょう。


他のページで書いていますが、鍼灸はそもそも需要がありません。

マッサージにしても、一般の人は整体・リラクゼーションへ行きます。

Q.どこの店舗へ行きますか?
@整体・リラクゼーションの店 約55%
Aマッサージをしている整形外科や整骨院 約30%
B指圧・マッサージの専門店 約10%
Cその他(出張や温泉施設など) 約5%


つまり個人の店舗に行く人は、かなり限られるという事です。


あなたの近所にも鍼灸やマッサージの店が何件かはあると思います。
「この店やっているのかな?」とか「お客さん入るの見た事ないなぁ」と感じた事はありませんか?
それが現実なのです。



「鍼灸院の経営者は、休日や夜にはバイトに行っている」なんて普通にあります。
土地や不動産の収入があり「鍼灸院は趣味」という人も結構います。



鍼灸・マッサージ師で、セミナーで講義したり勉強会を開いたりしている人がいますが、偉そうに講義している鍼灸師が、実は「店舗の売上だけでは生活出来ないので、小遣い稼ぎに講義している」というパターンが結構あります。

人が集りさえすれば、講義している方が簡単に儲かるので、店舗をやめて講義だけにシフトする人もいるぐらいです。
話すのが上手な人や、人前に出るのが得意な人はそちらの方が向いているのかもしれません。


勉強会って、実際に役に立つ事ってほとんど無いんですよね。
(本を読んでいれば知っているような事しかやらないので)
物販目的や、インチキ臭い勉強会も少なくありません。

業界に入りたての頃はいろいろな勉強会へ行っていましたが、役立つような講義はほぼ皆無でした。。。


「あまり本は読まないので人から教えてもらいたい」とか「業界の人間どうしの繋がりを持ちたい」とかいう人向けですかね。



〜保険適用の訪問マッサージの場合〜
マッサージ師の資格があれば、保険適用の訪問マッサージが出来ます。

訪問マッサージの求人を見ると・・・
「完全週休2日 ボーナス支給 手取り25万円以上」
「業務委託 週5日稼働で月40万円以上可!」
など景気の良い求人をよく見ます。


旨い話しには裏がある・・・



簡単に言うと「往診料を水増し請求する」という事です。
訪問マッサージをしている会社や治療院で、水増し請求していないところは
「ほとんどない」と思います。


最近は、あまりに酷い請求しているところは摘発されたりしていますね。

政府もついに堪忍袋の緒が切れて、往診料の大幅値下げをしました。
それでも不正請求が無くなるわけではないので、この先も金額は下がる一方でしょう。


不正は免許取り消しや、水増し分の返還請求をされる可能性がありますから、よく考えてから働きましょう。




〜おまけ〜

開業して「年収1,000万円」稼ぐにはどれだけ施術が必要か計算してみましょう。

マッサージの場合で計算すると、市場の平均価格は「60分 3,800円」だそうです。
60分2,980円のお店が増えた為、全体的な相場は下がっているので、個人的な実感としても「それぐらいかな」と思います。


お店の経費に「月10万円」かかるとすれば、年間1,120万円の売り上げが必要です。

1ヶ月約93万円の売り上げ

週休1日で月25日稼働すれば、1日37,200円の売り上げ


60分 3,800円だとすれば、1日9.8人で37,240円の売り上げです。


つまり「毎日10人の施術が必要」という事です。



この仕事をしている人なら分かりますが、60分の施術を10人にするには14〜15時間必要です。
施術以外の雑用や、休憩・食事の時間が必要ですし、お客さん待ちの時間などがありますから「10時間で10人」の施術は絶対に不可能なのです。


そもそも個人の店舗に毎日10人も来るなんて、あり得ないですしね。


年収1,000万円が、机上の空論という事が良く分かると思います。



〜業界のコロナ影響について〜
コロナウイルスの蔓延によっていろいろな業界が影響を受けています。
鍼灸マッサージの業界も当然影響を受けています。

しばらく休業していたり時短営業で対応したりと様々ですが、売り上げで言えば5〜7割減という店舗が多かったようです。
今は少しづつ戻ってきているようですが、都心にある店舗ほど戻りが悪いようです。

供給過剰なうえに生活必需では無いので、ある程度は予想していましたが仕方ないですね。
廃業する店舗もこれから続々と出てくるでしょう。


これから開業しようと考えている人は、延期した方が賢明だと思います。
飲み屋などの飲食店が続々と潰れていますが「あれば便利だけど無くても生活には困らない」という商売はしばらくの間不況が続くと思います。



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